展示屋の仕事 展示会

乃村工藝社を退社して後も、私の仕事の多くは展示デザインであり、今でも本職は”展示屋”です。かなりニッチな分野で、その特性を理解してもらうことはなかなか難しいのですが、専門性の高い仕事です。

展示会はメーカーにとって、同業他社が立ち並ぶ中で、自らのブランドを顧客に直に訴求する重要なイベントです。
私は30年のキャリアの中で、ありとあらゆる企業のブースデザインに関わりました。
華やかなモーターショーや、電機メーカー、スポーツブランド、文具メーカー、薬品メーカー等、様々の企業を始め、時には海外に向けた日本パビリオン等も。
全てはヒアリングから。企業それぞれに特性があり、新商品には物語があり。本当に楽しいです。それを整理して、観客に見せる姿にしていくのがデザイナーの役割です。

ただフリーランスの個人の立場で企業PRの仕事に直接関わることはほとんどなく、ここに表立って詳細を語ることができる案件はありませんが、一部を写真で紹介したいと思います。

観衆に一目で企業のブランドを正しく伝えること
それが展示屋の仕事

展示会は仮設の広報イベントで、店舗や飲食店などのインテリアデザインとは全く異なります。

観客でごった返す会場で、企業のメッセージを的確に伝えなくてはいけません。
まずはメッセージと内容を整理することから始まります。

ステージ演出や観客参加のイベントなどの制作チームや、運営チームと連携して、期待する効果を最大限にするための、配置計画、色カタチ=デザイン、照明計画等々をまとめあげていきます。
デザインの要素も大変に複雑。ブースデザインは建築に似ていて、多くの場合、訴求にはグラフィックデザインが不可欠で、商品陳列にはウインドウディスプレイのような緻密さが求められます。
そして何よりも特徴的なのはスケジュールの厳しさ。
長いものでは半年に渡り、連日の追加変更に振り回され、毎日走り続けてようやく完成。美しいモデルが並び、映像やスポットライトが輝くと、キラキラした華やかさ。そして、通常1週間以内にきれいに撤去されるという、本当に夢を見ているような仕事です。

その儚さがまた、好きです。

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